非認知能力育成のために

近年、学力だけでなく、非認知能力の育成が重要視されています。非認知能力とは、協調性や自己制御力、創造力、やり抜く力(グリット)など、数値で測ることが難しいスキルのことです。これらの力は、子どもたちが将来、自分らしく生きるために不可欠なものです。では、どのように非認知能力を育てていけばよいのでしょうか。

挑戦する環境を整える

まず、大切なのは「挑戦する環境を整える」ことです。例えば、子どもが興味を持ったことに対して、失敗を恐れずに取り組める環境を作ることが重要です。家庭では、料理やDIY、自由研究など、小さなことでも「やってみたい」と思ったことを応援し、最後までやり遂げる経験を積ませることが効果的です。学校では、プロジェクト型学習や探究学習を取り入れ、試行錯誤を繰り返しながら学ぶ機会を増やすことができます。

人との関わりを大切にする

また、「人との関わりを大切にする」ことも重要です。コミュニケーション能力や共感力は、非認知能力の中でも特に大切な要素の一つです。例えば、異年齢の子どもたちが一緒に活動する機会を作ると、お互いに学び合う場になります。地域のイベントに参加したり、ボランティア活動を経験することも、社会性を育てる良い機会になります。子どもが意見を伝える場を増やし、話し合いや協力の大切さを学べる環境を整えることが求められます。

自己肯定感を育む

さらに、「自己肯定感を育む」ことも欠かせません。子どもが自分に自信を持ち、前向きに行動できるようになるためには、周囲の大人の関わりが大きな影響を与えます。親や教師が子どもの努力を認め、過程を大切にする声かけを意識することが重要です。例えば、「結果はどうあれ、一生懸命やったことが素晴らしい」「工夫したところがよかったね」といった言葉をかけるだけで、子どもは自信を持つことができます。また近年の研究で自己肯定感を高めるためには、「人から感謝されること」が最も効果的であるとも言われています。子どもに感謝の想いを伝えること、また子どもに他の人のためになる行動を促し、「感謝される場面を設定すること」が自己肯定感を育む上で重要です。

感情をコントロールする力を育てる

また、「感情をコントロールする力」を育てることも、非認知能力の向上に役立ちます。例えば、イライラしたときに深呼吸をする、気持ちを言葉にして伝えるといった習慣を身につけることで、冷静に対応する力が養われます。親子で「今日はどんな気持ちだった?」と話し合う時間を作ると、感情を整理しやすくなります。学校でも、感情を表現するワークショップを取り入れたり、リフレクションの時間を設けたりすることで、子どもたちが自分の気持ちを理解する力を育むことができます。

長い目で育む非認知能力

最後に、「非認知能力の育成は長い目で見ることが大切」だということを忘れてはいけません。数日で大きな変化が見えるものではなく、日々の小さな積み重ねが将来の力となります。私たち大人が、子どもたちの挑戦を見守り、寄り添いながら、一緒に成長していくことが大切です。非認知能力を育む環境を作ることで、子どもたちが自分の可能性を信じ、たくましく生きていけるようになるはずです。

代表理事 荒井 顕壱